代替除細動戦略がショック抵抗性および再発性心室細動に与える影響(DOSE VF trialの二次解析)

代替除細動戦略がショック抵抗性および再発性心室細動に与える影響(DOSE VF trialの二次解析)

The impact of alternate defibrillation strategies on shock-refractory and recurrent ventricular fibrillation: A secondary analysis of the DOSE VF cluster randomized controlled trial

  • Resuscitation. 2024;198:110186.
  • doi: 10.1016/j.resuscitation.2024.110186.
  • PMID: 38522736.

DOSE VF trialの二次解析が出たので紹介します。

DOSE VF trialで使用された、代替除細動戦略(Double Sequential External Defibrillation: DSED、Vector Change: VC)とVFの種類 (ショック抵抗性VFまたは再発性VF) が患者の転帰に及ぼす関係を調査した。

目次

Introduction

  • 難治性心室細動(3回の連続した除細動試行と標準的なACLS後に観察されるVF)を対象としたDOSE VF trialでは、DSEDとVCは、標準的な除細動と比較して生存率の向上が実証された。この研究では、再発性VF(少なくとも 5 秒間 VFがなく、その後自然に VF が再発する) とショック抵抗性VF(最初の3回のショックの前後でVFが継続する)を区別していなかった。現在のガイドラインではショックを与えた後に直ちに CPR を行うよう推奨されているため、臨床の場ではこれら2つのシナリオを区別することは困難である。
  • このサブスタディの主な目的は、標準的な除細動と比較した場合の「ショック難治性」および「再発性」VFの両方の臨床結果に対する代替除細動戦略 (DSEDおよびVC) の有効性を判断すること、である。

PICO

P: 18歳以上の非外傷性院外⼼停⽌患者で、3回の除細動に不応性の難治性VF

I: DSED、Vector Change

C: 標準治療

O: 生存退院率(Primary outcome)、VF の停止/ROSC/mRS≤ 2として定義される神経学的予後

Method

DOSE-VF trialに登録された患者から前向きに収集されたデータの二次分析を実施した。詳細についてはDOSE VF trialを参照。

最初の3回のショック(ランダム化前)の前後でVF波形が連続していた場合、ショック抵抗性VFと定義した。また、最初の3回のショック(ランダム化前)中にいつでもVF波形が5秒以上消失したことが示された場合、再発性VFと定義した。

Outcome


合計405人の患者がDOSE VF RCTに登録され、そのうち355人(88%)がper protcolに含まれた。除外の後、345人 (97%)が分析に含まれた。345人の患者のうち、60人(17%)がショック抵抗性VFと判断され、285人(83%)が再発性 VFと判断された。

VCは、どの主要評価項目または副次評価項目(VF終了以外)においても標準的な除細動より有意に優れているとは認められなかったが、DSEDを受けた患者では、すべての主要評価項目と副次評価項目が標準的な除細動と比較して有意に優れていた。ショック抵抗性VFの患者のうち、標準的な除細動のみを受けた患者で生存退院した患者はいなかったが、退院までの生存率と神経学的に予後良好な割合(両方の評価項目でp = 0.01)は、標準的な除細動と比較してDSEDで有意に優れていた。再発性VFの患者のうち、VF停止は標準的な除細動と比較してDSEDとVCの両方で有意であったが(p = 0.01)、ROSCについては標準的な除細動と比較してDSEDのみが有意であった(p = 0.02)。標準的な除細動と比較した場合、VCとDSEDでは退院までの生存率と神経学的に予後良好な割合はすべて高くなったが、統計的に有意ではなかった。

Table5は調整後のPrimary analysisであるが、再発性VFの患者はショック抵抗性VFの患者よりも生存率が高かった(OR 2.76、[95% CI 1.04, 7.27])。DSEDは、全体での生存退院率(27.2% vs. 14.0%、OR 2.18 [95% CI 1.05, 4.51])およびショック抵抗性VFの生存退院率(28.6% vs. 0%、P値0.04)において、標準的な除細動よりも優れていた。再発性VFの患者に対するDSEDの退院生存率は、標準的な除細動よりも優れているとは認められなかった(27.0% vs. 17.1%、OR 1.71 [95% CI 0.80, 3.68])。VC除細動は、全体的にも、ショック抵抗性または再発性VFサブグループのいずれにおいても、標準的な除細動より優れているとは認められなかった。

神経学的予後良好という結果については、DSEDは全体的に標準的な除細動より優れていることが認められた (OR 2.56 [95% CI 1.19, 5.52])。VC除細動は、副次的評価項目である神経学的予後良好な割合に関して、全体的(OR 1.54 [95% CI: 0.69, 3.48])にも、ショック抵抗性(P値 = 1.0)または再発性(OR 1.33 [95% CI 0.57, 3.10])コホートにおいても、標準的な除細動より優れているとは認められなかった。

Discussion

再発性VFに分類された患者は、ショック抵抗性VFに分類された患者よりも、生存退院率が高く、そもそもの発生頻度も高かった。また、DSEDは、退院までの生存率に関して全体的に優れていた。そして、ショック抵抗性VFの患者では、臨床転帰において、DSEDが標準的な除細動よりも優れていた。調整後の解析では、VCは、全体的にも、ショック抵抗性または再発サブグループのいずれにおいても、生存に関して標準的な除細動より優れているとは言えなかった。

よってこの研究では、VFの根本的なパターンや軌跡に関係なく、DSEDが標準的な除細動より優れた戦略であることを示唆しているが、特に患者がショック抵抗性VFを呈している場合はその傾向が顕著である。

まとめ

今回は二次解析のため、普段のRCTの読み込みより端折りましたが、ショック抵抗性VFでは、DESDの有用性が示されていますね。

今現在(2024年7月)、DSEDを救急外来で実際にやっている施設はあるのでしょうか。

二つ用意するということに対してかなりハードルが高いように思えますが、ショック抵抗性VF患者でDESDを使用することで神経学的予後が良くなる(サブグループのN数は少ないとはいえNNT4.5)ということは、やはり救急外来でも導入する価値はありますね。当施設でも検討します。

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