脳出血における血圧管理:いつ、どの程度、どのくらいの期間行うか?

脳出血における血圧管理:いつ、どの程度、どのくらいの期間行うか?

Blood Pressure Management in Intracerebral Haemorrhage: when, how much, and for how long?

  • Curr Neurol Neurosci Rep (2024)
  • https://doi.org/10.1007/s11910-024-01341-2

脳出血における血圧管理についてレビューがあったのでまとめます。

目次

疫学

脳出血は脳卒中の13-30%を占めており、30日以内の死亡率は約40%と高く、独立した機能回復を達成できる患者は12-39%のみである。

脳出血における介入は、神経学的悪化、機能的転帰の低下、死亡率と強く関連がある血腫拡大をターゲットとしている。つまり、血腫拡大抑制のためにできることは、支持療法、抗凝固薬のreverse、降圧である。

重篤な水頭症に対しては脳室ドレーン、後頭蓋窩出血に対する外減圧などの外科的処置が救命処置として施行されることがある。

いつ降圧するか?

発症から3時間以内に血腫拡大は最大となるため、早急な降圧が必要である。INTERACT2、ATACH-2 trialの結果を受けて、積極的降圧が転帰良好となりうることから、AHA/ASA、ESOでは発症から2時間以内に降圧を目標としたweak recommendationを掲げている。

どのくらい降圧するか?

ひとまず140を目標に降圧することが求められる。

ただし、最初の1時間以内にsBP60mmHg以上の降圧をすることは有害である可能性がある(Lancet Neurol. 2019;18:857-864.)。

また、診察時dBP70mmHg未満では転帰不良である(J Pak Med Assoc. 2008;58:359-61.)。

どのくらいの期間降圧するか?

質の高いデータがないため不明ではあるが、INTERACT2/3では7日間、ATACH-2では24時間であった。ESOでは降圧は24-72時間を目標に行うとコメントしている。

血腫拡大は発症から数時間以内に起こるため、24時間以降はそこまで積極的な降圧を必要とせず、静脈内投与ではなく経口投与に置換していく。

再発予防としては、ISH/AHAガイドラインではBP130-140mmHg未満にすることを推奨しているが、ESHでは低用量の併用療法で130/80mmHg未満を目標とすることが推奨されている。

発症からすでに時間が経っている(24時間以降、など)場合、積極的な降圧は効果が限定的である可能性が高いため、経口薬で徐々に血圧を下げる。

まとめ

脳出血では、発症から2,3時間くらいまでに140mmHgを目標に静注で降圧、24-72時間経過したところで内服へ移行していく、といった診療ですね。

普段の診療と変わらず続けていきます。

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