肺膿瘍:非保存的治療

肺膿瘍:非保存的治療

Lung abscess: the non-conservative management: a narrative review

  • J Thorac Dis. 2024 May 31;16(5):3431-3440.
  • doi: 10.21037/jtd-23-1561.
  • PMID: 38883669

肺膿瘍に関するレビューがありましたのでご紹介します。

目次

Introduction

肺膿瘍に対する抗菌薬による保存的治療の成功率は63~67%である。抗生物質による保存的治療が最初のステップであり、ゴールドスタンダードであるが、全身抗生物質に反応せず、臨床症状の改善を認めない患者に対しては、侵襲的処置が必要である。

腫瘍や異物による気管支内閉塞の場合、または悪性腫瘍や血管炎による空洞性病変の場合、膿瘍は抗菌薬に期待どおりに反応しない可能性がある。抗菌薬の不適切な選択、抗真菌剤の追加不足、抗菌薬治療期間の短さも、治療失敗の原因として考えられる。

直径が6cm を超える膿瘍は抗菌薬に反応する可能性が低く、ドレナージが必要になることがよくある。

免疫不全患者、悪性腫瘍を伴う膿瘍、高齢、意識レベルの低下、または特定の微生物(肺炎桿菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌など)による感染の場合、抗菌薬のみで治療すると治療が失敗する可能性が高くなる。

抗菌薬治療を7~14日間行った後も臨床症状が悪化する場合は、膿瘍の穿刺または外科的切除または剥離術の可能性の評価が推奨される。

経皮経胸腔チューブドレナージ(PTTD)や、最近では内視鏡カテーテルドレナージ(ECD)が、手術に代わる効果的な治療法として提案されている。

内視鏡カテーテルドレナージ: ECD

肺の中心部や近位に位置する膿瘍が良い適応である。

7Fr以上のサイズのドレナージカテーテル (ピグテール カテーテル、長さ90cm) が、気管支鏡を使用して経鼻的に透視下でガイドワイヤーを介して膿瘍腔に挿入された。

真菌が疑われる場合は、ゲンタマイシンまたはアムホテリシン B で1日2回腔をフラッシュする。

気管支内超音波ガイドシース (EBUS-GS キット、K-203、Olympus America)を使用し、膿瘍腔を生食で洗浄、吸引することでも治療可能である。

経皮経胸腔チューブドレナージ: PTTD

壁側胸膜と膿瘍の近くに正常な肺実質がほぼない状態の末梢にある膿瘍が適応となる。

8cm以上の肺膿瘍の場合、PTTDは効果的で、おそらく外科的治療よりも安全であり、入院期間中に早期に検討する必要があるかもしれない。

エコーガイド下、CTガイド下どちらでも良いが、もちろんCTガイド下の方が安全。7-10Fr挿入する。細い場合は、生食で頻回にフラッシュが必要。

経皮カテーテルによる肺膿瘍のドレナージの成功率は88.5%と報告されている。

気胸、膿胸、気管支胸膜瘻、血胸などの合併症が起こりうることには注意。気管支胸膜瘻の管理には、気管支内弁 (EBV) の設置があり、関与する気管支部分または葉の無気肺を作り出し、治癒に十分な時間を確保できる。

PTTDの15% では、気胸に対する手術や胸腔チューブ挿入などのさらなる侵襲的処置が必要であった。

PTTDはECDと比較して、合併症率は多い。

手術

適切な抗菌薬治療、経皮カテーテル、内視鏡的ドレナージ、などの組み合わせ治療でも改善しない患者には、手術が適応である。

気管支内治療や気管支動脈塞栓術で制御できない気管支胸膜瘻、膿胸、著しい喀血を発症した患者は、外科的切除を受ける必要がある。

手術は死亡率が高く11%に達する可能性があるので、最終手段である。

まとめ

抗菌薬で反応とぼしい時、膿瘍の大きさが当初より大きい場合にはドレナージを検討すべきですね。ECD、PTTDの適応、合併症を知っておくことは重要です。

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