血管超音波を使用した静脈うっ滞の評価

血管超音波を使用した 静脈うっ滞の評価

Assessment of Venous Congestion Using Vascular Ultrasound

  • JACC Cardiovasc Imaging. 2023 Mar;16(3):426-431.
  • doi: 10.1016/j.jcmg.2022.12.028.
  • PMID: 36889855.

血管超音波を使用した静脈うっ血の評価は、IVCだけではありません。肝静脈、門脈、腎静脈の評価が有用です。

目次

VEXUSとは?

肝静脈、門脈、腎静脈の評価はVEXUS(Venous Excess Ultrasound)とも呼ばれ、体液管理の最適化に役立つ可能性がある(具体的には輸液反応性の評価、利尿薬投与の可否など)。

【IVC、肝静脈評価】

IVCはご存知の通り、うっ滞が進むと拡張し呼吸性変動が減少する。

肝静脈は、うっ滞がなければS(systlic)>D(diastolic)波となるが、うっ滞が進行するとS<D波となり、最終的にはS波成分が逆転する。

【門脈、腎静脈評価】

門脈は、うっ滞がなければ連続的な非拍動性の流れを認めるが、うっ滞が進行すると、拍動が見られるようになり、さにうっ血が増悪すると、収縮期に流れの逆転がみられるる。

腎静脈は、ベースラインの下の波形を指すが、うっ滞がなければ、連続的な非拍動性の流れを認める。ベースラインより上に見られるのは、腎動脈波形である。静脈うっ滞が進むと、拍動性かつ二相性隣、S波・D波が認められる。さらにうっ滞が進行すると、D波のみとなる。

症例1

72歳男性、EF41%、呼吸困難、腹部膨満感あり。

IVCは26mmで呼吸性変動なし、肝静脈ではS<D波パターン、門脈では拍動性が見られ、腎静脈ではS波、D波両方認められる。

よって、右房圧高く、うっ滞がしっかりあることがわかる。利尿薬が開始され、IVC、肝静脈、門脈、腎静脈エコーで改善が認められた。

症例2

83歳女性、重度の三尖弁逆流あり。

IVCは拡張しており呼吸性変動なし、肝静脈ではS波の逆転が認められる。門脈では拍動性が見られ、腎静脈ではS波、D波両方認められる。

よって、右房圧高く、うっ滞がしっかりあることがわかる。利尿薬が開始され、IVC、肝静脈はあまり変化が認められなかったが、門脈、腎静脈エコーで改善が認められた。

症例3

69歳男性、HFpEF、Cre1.5mg/dLと上昇、低Na血症(129mmol/L)あり。労作時呼吸困難あり利尿薬4日間内服していた。胸部レントゲンでは肺水腫は見られなかった。

IVCは拡張はないが呼吸性変動も見られず、肝静脈ではS<D波が認められる。門脈では拍動性が見られ、腎静脈ではS波、D波両方認められる。

よって、うっ滞があることがわかり、希釈性低Na血症を伴ううっ血性腎障害の診断となった。水分摂取制限され、利尿薬が継続された。Creは0.9mg/dLまで改善した。

まとめ

VEXUSは有用性が高く、実臨床でもよく使っています。輸液反応性、利尿薬の投与判断などにも使えますね。

以下のyoutubeも参考になります。

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