- Chest. 2024 Aug;166(2):321-338.
- doi: 10.1016/j.chest.2024.02.049.
- PMID: 38447639
The International Collaboration for Transfusion Medicine Guidelinesからのアルブミンに関するガイドラインが作成されましたので紹介します。各推奨の根拠となった論文については多すぎるので今回は推奨のみ提示としておきます。
推奨事項
1 重症成人患者(熱傷およびARDS患者を除く)において、アルブミン静注は、第一選択の容量補充または血清アルブミン値の上昇には推奨されない(条件付き推奨、エビデンス: 中)。
2 熱傷またはARDSの重篤な成人患者において、アルブミン静注は、血管内用量の補充または血清アルブミン値の上昇のためには推奨されない(条件付き推奨、エビデンス: 極めて低い)。
3 重篤な成人患者において、利尿薬と併用したアルブミン静注は、血管外液の除去には推奨されない(条件付き推奨、エビデンス: 極めて低い)。
4 感染症および低灌流状態の小児患者では、死亡率を低下させるためにアルブミン静注は推奨されない(強い推奨、エビデンス: 低い)。
5 血清アルブミン値が低く、呼吸困難のある早産新生児(36週未満)では、アルブミン静注による呼吸機能の改善は示唆されない(条件付き推奨、エビデンス: 極めて低い)。
6 低灌流を伴う、または伴わない早産新生児(32週未満または1,500g未満)では、アルブミン静注による体液量補充は推奨されない(条件付き推奨、エビデンス: 極めて低い)。
7 腎代替療法を受けている患者において、アルブミン静注は、透析中の低血圧の予防または治療、あるいは限外濾過の改善には推奨されない(条件付き推奨、エビデンス: 極めて低い)。
8 心血管系手術を受ける成人患者において、アルブミン静注は心血管系バイパス回路のプライミングまたは容量補充には推奨されない(条件付き推奨、エビデンス: 中程度)。
9 心血管系手術を受ける小児患者では、アルブミン静注は心血管系バイパス回路のプライミングまたは容量補充には推奨されない(条件付き推奨、エビデンス: 極めて低い)。
10 大容量の腹腔穿刺(>5L)を受けている肝硬変および腹水の患者において、アルブミン静注は、腹腔穿刺による循環機能障害を予防することが示唆されている(条件付き推奨、エビデンス:極めて低い)。
11 肝硬変およびSBP患者では、アルブミン静注により死亡率が低下することが示唆されている(条件付き推奨、エビデンス:低い)。
12 肝硬変および腹膜外感染症患者において、アルブミン静注は死亡率または腎不全を減少させることは示唆されていない(条件付き推奨、エビデンス:低い)。
13 低アルブミン血症(30g/L未満)を伴う非代償性肝硬変の入院患者において、アルブミン濃度を30g/L以上に上昇させるためにアルブミン点滴静注を繰り返すことは、感染、腎機能障害、死亡を減少させるために示唆されていない(条件付き推奨、エビデンス:低い)。
14 外来患者において、利尿薬療法にもかかわらず合併症のない腹水がある場合、肝硬変に伴う合併症を軽減するためにアルブミン静注はルーチンに推奨されない(条件付き推奨、エビデンス:低い)。
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